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螺役と相馬野馬追:伝統を守る若者の挑戦

この記事は「南相馬市サポーターライティングスクール 大学生版」の活動の一環で作成しています。首都圏の大学生が南相馬のみりょくを取材し、記事や動画にまとめました!ぜひ最後までご覧ください♪ 活動について詳しくはこちらの記事へ→https://minamisoma-city.note.jp/n/nea2e8feb062f

南相馬市で毎年開催される相馬野馬追。このお祭りの中で、重要な役割を果たす「螺役(かいやく)」についてご存知でしょうか?

今回は、中ノ郷の若き螺役として活躍している、泉川大和さんにインタビューし、その魅力や日々の活動についてお話を伺いました。

泉川大和(いずみかわ やまと)さん
南相馬市出身、現在仙台の大学に通う21歳。5人兄弟の長男。小学1年生のときに螺役だった父に付いて馬の世話などを始めるが、小学2年生で石川県へ避難。高校1年生で福島に戻り、野馬追の手伝いをしながら、大学1年生で初出陣。中ノ郷の若き螺役として、世代と伝統をつなぐ役割を果たしている。

螺役(かいやく)とは

――改めて螺役とは何でしょうか?

泉川さん:
螺役とは野馬追の行事を進める上で、集合する時や馬に乗る時、神社を出発する時の合図を出す役割のことです。陰と陽の音色を組み合わせて合図を出します。

――出発と集合の合図では音色が変わるのですか?

泉川さん:
そうですね。いくつか音色がありますね。

――これを習得するのは難しいですか?

泉川さん:
最初は覚えるのが大変ですね。吹くこと自体は練習すれば大丈夫です(笑)。どんなことも練習すれば出来るようになります!

相馬野馬追開催までの準備

――1年間どういったスケジュールで動いていくのですか?

泉川さん:
螺役の練習は月に1回、第2火曜日に神社で、朝の6時半から約1時間行います。そこには、自分よりもっと若い小学生から、お年寄りの方まで、幅広い年代の人が集まってきます。

――その練習には何人くらい来るのですか?

泉川さん:
相馬小髙神社、相馬中村神社、相馬太田神社と3つの神社に分かれていて、そこからさらに中ノ郷や小高郷など、郷によって区別されるため、全体の数は分からないのですが、自分の中ノ郷は15人くらい来ます。

――平均年齢はどのくらいですか?

泉川さん:
45とかですかね。平均年齢は高めですが、自分的には、世代間の交流が出来ることが相馬野馬追の面白いところだと思います。

――なるほど。その月1の練習が1年間続くと思うのですが、開催が近くなると練習は増えたりしますか?

泉川さん:
そうですね。2週間くらい前から毎日練習が入ってきます。

――大学に通われていると思うのですが、練習と大学をどのようにして両立をしているのですか?

泉川さん:
大変だけど頑張る。授業が終わったら速攻で電車に乗ってくる感じですね。

螺役を更に詳しく深掘り

――どうして螺役に入ろうと思ったのですか?

泉川さん:
自分が螺役に入ろうと思った理由は、まずは、お世話になっていた人が螺役で出ていたことですね。その人が馬を飼っていて、その家に行っていたことがきっかけです。昔お父さんが螺役として出ていたことがあって、道具が揃っていたことも大きいですね。あとは、吹奏楽部に所属していて、音楽関係ということもあって螺役に興味を持っていました。それから、やっぱり、かっこいいなっていうところもありますね。螺役はほかの人たちより前の方を歩いたりできるので。

――螺役には誰でもなれるのですか?

泉川さん:
なれると思いますよ。ただ、ここら辺に住んでいないといけないっていうのはあるかもしれないですね。自分が野馬追に入ってみて思ったことが、繋がりがすごく大事なお祭りということで、今お世話になっている人は、親族とか血縁関係がある人ではなく、年も離れているのですが、すごく面倒を見てくれます。そういう関係の中でやっていくことが野馬追の大事なことなので、ここに住んで、繋がりが強い状態でずっといないと、野馬追に出ても、分からないところをすぐ聞けなかったりするなどの難しさはあると思います。

――螺役の楽しいところと大変なところを教えてください。

泉川さん:
螺役の楽しいところは、出陣する時や神社から出る時、御発輦(ごはつれん)と言うのですが、その時に螺役の音で、馬が出発する合図を出せることですね。みんなが自分の合図が出るまで待っている中、合図が出たら一斉に馬が出陣していくのを見るのは爽快です。大変なところは、練習ですかね。そもそも螺が吹けないといけないことに加え、馬に乗る場合は、片手で馬を押さえつつ吹かないといけないので、ほかの騎馬隊とかと違った難しさがあります。そういうことが出来るようにならないといけないので、練習は大変です。

――こういった大変な練習を乗り越えていく上で、どういったモチベーションを持って練習に取り組んでいるのですか?

泉川さん:
螺役がかっこいいということと、野馬追に出ている人たちとの繋がりをきちんと保っていきたいことですかね。繋がりを深めたい。繋がりを大事にしているお祭りだからこそ、自分もその輪の中に入りたいという気持ちですね。

南相馬市について

――南相馬市や相馬野馬追について、東京の人たちに知ってほしいことはありますか?

泉川さん:
1回お祭りを見にこっちに来てもらいたいですね。東京とか神奈川によく遊びに行くのですが、空気感がこっちと違うような感じがします。こっちは建物とか圧倒的に少ないですけど、空気がおいしく自然を感じることが出来るので体験しに来てほしいですね。

――あなたにとって南相馬市とは?

泉川さん:
新しいことを自分の中から生み出してくれるような場所であると思います。大学が仙台なのですが、仙台とか東京に行ったときよりも自然な感じがあります。自分はバンドをやっていて、曲を作る時とかの感覚が、こう自然な感じがあるんですよ。感覚に頼ってもいいみたいな。東京とか仙台だと感覚というより、ロジックが強いので、南相馬は自然な感じ、自由なところがありますね。

今後について

――螺役としての今後の目標はありますか?

泉川さん:
忙しい中でも、出られるときには、出るような感じでいたいです。あと、自分5人兄弟なので、弟や妹とかも興味を持って出てくれると嬉しいですね。

――大学卒業されたらどうするのですか?

泉川さん:
迷ってはいるのですけど、放浪とかしてみたいですね。

――人生の目標はありますか?

泉川さん:
人生の目標は、音楽に関しては、自分が作り出したいものを作ることですね。あと、ピラミッドとか見てみたいですね。冒険心があるので(笑)。
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インタビューを通じて、螺役の魅力や相馬野馬追の裏側を深く知ることができました。それでは、私たちが実際に感じた南相馬市と螺役の魅力について、少しお話ししたいと思います。

南相馬市の「人」の素晴らしさ

私たちは南相馬市の人びとのすばらしさに改めて気づきました。老若男女問わず多くの人びとが一つのお祭りを楽しみ、共に過ごす光景はまさに感動的で、温かい繋がりに魅了されました。

螺役が響かせる音

実際に現地で螺役が響かせる音色を聞いた時、その力強さと美しさに心を奪われました。音が場を彩り、その瞬間に全てが動き出す景色は圧巻でした。その音色が持つ力は、単なる合図を超え、長い歴史と伝統を紡いできた螺役の魂を感じさせるものでした。

繋がりの大切さ

螺役に入ったきっかけや、その後の経験を通じて、泉川さんは地域の繋がりの大切さを強調していました。野馬追は、親族や血縁関係だけでなく、年齢を超えた広いネットワークによって支えられています。この世代を超えた交流が、相馬野馬追の一つの魅力であり、伝統である所以なのだと感じます。

南相馬市の魅力

泉川さんは南相馬市について「新しいことを自分の中から生み出してくれるような場所」と話していました。その言葉通り、私たちは南相馬市を訪れるたびに、心が軽くなり、新しい自分に出会える場所だと感じています。南相馬市には、どこか懐かしく、心地よい空気が流れており、その風景や人びとの温かさが訪れる人々の心を解放してくれます。

ぜひ、皆さんも南相馬市を訪れ、その素晴らしさを体感してみてください。


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